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≪サーバー保守学≫
医療現場のサーバーやシステム保守運用業務に役立つ情報を定期的に配信しています。

サーバ保守学(4)

(執筆者)亀田医療情報株式会社 塚田智 


みなさん、こんにちは、サーバー保守学第4回です。前回のこのコラムで台風や豪雨や落雷などによる停電のお話をしたばかりですが、先日、実際に台風の影響により関東地方で大規模な停電が発生しました。2週間経っても数万戸で停電しているようです。みなさんには影響なかったでしょうか。被害を受けた方、今も不自由な生活を強いられている方にお見舞い申し上げます。

今回は、この台風と停電で実際にあった障害と、その対応のお話をしていきます。なお、内容は事実をもとに脚色したものですので、事実とは異なることご承知ください。

  

実際に停電発生!知識と工夫で対処しよう。


1.エアコンが故障したので扇風機で冷却した

台風の影響で約1時間の停電が発生、サーバーはUPSで稼働していたものの、サーバー室のエアコンに電源が供給されずエアコンが停止。電源復旧後にエアコンが動くはずが動きませんでした。一般家庭用のエアコンを数年間連続運転していたためか、停電の影響で故障し復旧できなかったようです。

これを確認したのが午前2時頃、外はまだ台風の強風と雨が降り続き、早急な修理は望めない状況です。少しでもサーバーを冷却するため、倉庫にあった扇風機を持ち出し、サーバーラックの扉を開けて、サーバーに向かって送風しました。エアコンほどではないにせよ若干の冷却効果はあり、やっと手配できた業者さんによりエアコンの修理が完了する夕方まで、扇風機の送風で乗り切ることができました。同じような場合に、大型のゴミ袋をつなげて筒状にし、隣室のエアコンの吹き出し口から冷気を流し込んで対処した、という話も聞きました。

どちらも効果は限定的で、一般的に推奨できる方法ではありませんが、一時的な応急処置として何でもいいから何かで冷却する、というのは適切な対応だと思います。何のためにサーバールームにエアコンがあるのか、どこをどの程度冷却すべきなのか、冷却には何が効果的なのか、という原理を理解して想定外の事象にも適切に対応できるようにしておきましょう。


2.停電対策として事前にサーバーを停止したら再起動できなかった

電子カルテの稼働から約2年、これまで一度も障害無くサーバーを停止したことはありませんでした。台風により近隣地区が停電する中、もともとUPSを設置していなかったため、急に停電するよりは事前に電源オフしておき、電源復旧後に電源オンすることにしました。午前1時に電源オフして、外来に間に合うように午前7時に電源オンしましたが、サーバーが正常に起動できませんでした。OSは正常に動いているものの、電子カルテのデータベースに読み書きできない状態になりました。

電子カルテのサポートセンターに連絡し確認してもらったところ、起動手順に誤りがあり、データベースが起動できていなかったとのこと、業者の指示通りに再起動することで電子カルテを使えるようになりました。稼働当初から再起動したことがなく、サーバー起動の手順書に誤りがあったことに気付かなかったことが原因でした。

稼働当初に業者から引継ぎを受けるときは、手順書のとおりに自分で操作してみて、誤りや不明点を解消しておきましょう。また、ホットスワップ(注)の機能や代替機がある場合は、手順確認と機能確認のために1年1回程度は手動で切り替えて慣れておきましょう。


3.業者のリモート接続を活用しましょう

台風で病院を含む地域が停電しました。UPSがあったのでサーバーは稼働し、電子カルテも通常のとおり使えているようでした。しかし、しばらくすると入力したオーダーが医事会計に取り込まれていない、と連絡がありました。当日は病院に事務当直しかおらず、システム管理者は自宅におり病院には来られない状態でした。システム管理者が自宅から電子カルテのサポートセンターに電話し、状況を確認してもらったところ、インターフェイスサーバーが停止しており、業者がリモート操作で再起動することで正常に取り込まれるようになりました。

停電のときに病院にシステム管理者がいないことも多いです。病院への移動が困難だったり、自分自身が被災したり、自宅周辺の対応で手一杯になるためです。そんな状況でも病院の電源や外部ネットワークが無事ならば、業者からリモート接続でサーバーを操作できる可能性があります。

ただし、普段は依頼しない操作を業者に依頼する場合は、管理者のユーザーIDやパスワードを業者に伝える必要があります。災害時・障害時にどのような方法で、これらの情報を伝え、どこまでの作業を依頼すべきか、業者と事前に調整しておきましょう。もちろん、これに沿った院内の運用規定も作っておきましょう。 また、自分のPCで外部からVPNで病院のサーバーに接続できるようにしている管理者もいるでしょう。これなら自宅からでもサーバーを操作できます。ただし、PCを紛失したときのリスクは大きくなります。リスクを正確に把握して、病院の事情にあった方法を選択し、院内の運用ルールを作って経営者に承認を得ておきましょう。


4.使えるもので必要な対応ができる知識と工夫

普段から停電対策は十分にしていると思いますが、実際に停電すると想定しないことがたくさん起こります。その場にあるもの、いま使えるものだけで、どこを優先に対処すべきなのか、素早く判断して行動できるように、事前に知識を得ておき現場で工夫しながら対処しましょう。



(注)ホットスワップ(Hot swap)とは、コンピュータやサーバーなどのシステムの電源を投入したまま、外部機器などの脱着を行える仕組みのこと。

(公開日 : 2019年10月01日)