医療法人を考えるヒント No.5

医療法人化を考えるヒントとなりそうな論点10項目を毎月1つずつ公開します。
倶楽部オベリスク(eアカデミア)では全編公開中です。

医療法人を考えるヒント No.5 リースのここにご注意

(執筆者)株式会社日本医療総合研究所 中村十念 


1.リースは有利?

リースは有利という都市伝説があります。

リースといっても、ファイナンスの一手段に過ぎないので、さほど有利な点は見出せないのが普通です。支払方法や付帯サービスを多様化でき、そのことで目先が変わり、自由と映るのかもしれません。しかし、リスクも大きいので、留意すべきです。


2.リース総額の中身に注意!

リース料金は、リース総額に対する月の料率で示されます。

リース総額には、機器等の金額、メンテナンス料等の付帯費用、設置手間賃等が含まれています。まずこの中身を分解して把握することが必要です。入っているもの、いないもの、想定外のものがたくさんあるに違いありません。次に単価をよく確認することです。約束された値引きがキッチリ反映されているか、法外な値段がついていないか目を皿にしてチェックして下さい。付帯費用が動産の購入価格を上まわるという常識外のケースもありますので。


3.金利+手数料の検証

リース料率は弁済金と金利で構成されています。中には、手数料をとられているケースもあります。ここで大切なことは、銀行の金利をベンチマークにして、金利+手数料を検証することです。

簡便法による検証方法は次の通り。

【例】リース期間5年の場合

  • リース総額×リース料率(月)× 60ヶ月-リース総額=金利+手数料。
  • (金利+手数料)×2÷リース総額÷5年=年間金利(%)

例えばリース総額500万円、リース料率2%(月)の例だと年間金利8%となります。今の金利レベルでは超高利。


4.所有権は貸し手側

リースのもうひとつの留意点は、所有権が貸し手側にあるということです。都市伝説には、リースはいつでも借り手の自由に最新のものが使えるというようなことがあります。しかし、普通はそんなことはありません。

一度使い始めると、特別な料金を払わない限り最後まで使わなくてはなりません。

リース料を払い終わっても、中古料金を払わないと自分のものになりません。中古を買うのは嫌なので、どうしても再リースということになります。本来は自分のものになるはずのものに費用を払って使う、割り切れない気持ちがするかもしれません。

前述のようにリース原価の掌握は経営を健全に保つために是非必要です。


5.契約書はよく確認

最後に、当り前ですが契約書をよく確認することが大切です。途中でリース料を払えなくなると、モノは業者の所有物ですので、ほとんどのケースで大トラブルになります。

医療業界は資金調達策の選択肢がそう豊かではありません。

リースも大切な資金調達法です。誠実な業者も数多くあります。

高利貸しがリース業者に化けているケースなどに留意しながら、活用しましょう。


  

⇒ 「医療法人を考えるヒント」については「はじめに」をご覧ください。

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