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≪決算書の簡易診断≫
上場している様々な企業の決算書の簡易診断結果を提供しています。

決算書の簡易診断 No.12 日本調剤株式会社

日本調剤株式会社 簡易B/S、P/L

【決算書の簡易診断とは】

実在する企業の決算書(主に貸借対照表と損益計算書)の中身を4つのチェックポイントから簡易的に経営診断したものです。各チェックポイントを独自の判断により「優」「良」「可」「不可」の4段階で評価しています。

簡易診断結果は十分な経営分析ではありません。参考としてご覧ください。


【チェックポイント1】債務超過に陥っていないか?

  1. 2020年度3月期時点の総資産(=負債と純資産の合計)は1, 856億円で、対前年度+69億円の増加となっています。
  2. そのうち、負債合計は1,385億円(対前年度+9億円)、自己資本(純資産)は471億円(対前年度+60億円)です。総資産額よりも負債合計額が小さいので債務超過ではありません。
  3. 財務体質を表す自己資本比率(※自己資本=純資産としています)は、対前年度+2.4ポイントで25.4%に改善しました。まずまずの水準です。
評価「可」

【チェックポイント2】営業利益・経常利益は黒字か?

  1. 当期の本業の基礎収益力を表す営業利益は76億円で、対前年度+9億円の増加となっています。売上高営業利益率は対前年度+0.1ポイントで、2.8%に改善しています。
  2. 当期の正常収益力を表す経常利益は、74億の黒字で、対前年度+13億円の増益です。
  3. 売上高経常利益率は、対前年度+0.3ポイントで、2.8%に改善しています。
  4. 営業利益、経常利益のどちらも対前年度で増加しており、収益力の向上が伺えます。ただし、売上高に対する比率はどちらも2%台で、まずまずの成績です。
評価「可」

【チェックポイント3】損益分岐点比率は100%を下回っているか?

  1. 損益分岐点比率は84.0%とまずまずの水準です。対前年度では▲1.5ポイントとなっており、生産性が向上しています。
評価「可」

【チェックポイント4】現・預金残高は月商(ひと月の売上高)の1.5ヶ月分あるか?

  1. 運転資金や手形の不渡りなどの不時に備えた手元現預金月商倍率は1.44ヶ月(対前年度▲0.01ヵ月)です。判断基準値である1.50ヶ月を若干下回っており、資金繰り面にはやや不安があります。
評価「可」

【総合評価】

  1. 2020年3月期は対前年度で増収増益の良い経営成績となりました。変動費の増加(+184億円)以上の売上高の増収(+228億円)を確保した結果、貢献利益は増加(+44億円)しています。
  2. 売上高貢献利益率は対前年度+0.2ポイントと改善しており、固定費回収パワーが向上しています。固定費の増加(+31億円)を上回る貢献利益の伸びを確保した結果、当期の経常利益は増益(+13億円)となりました。
  3. 財務面では、利益剰余金の厚みが増え、自己資本が増加しています。一方、負債が増加しましたが、買掛金と未払い法人税等によるもので、借入金は減少しています。手元の現預金のストックも増やしており、問題ありません。
  4. 第1回で取り上げた日本調剤の2020年度3月期を取り上げました。各チェックポイントの指標は前回同様に余りぱっとしませんが、経営面、財務面のどちらも安定した推移となっています。
評価「可」

【その他】

  1. 新型コロナウイルスの影響をあまり受けていない年度になりますが、貢献利益率は17.3%と前期同様に高い水準を示しています。医薬品にかかわる貢献利益率のベンチマークとして参考にしましょう。
  2. 新型コロナウイルスの影響による収入減、感染予防対策へのコスト増の二重苦で、経営が苦しい状態に追い込まれている医療機関もあるかと思います。経営を継続させるためには、手元に十分な資金(現金)を確保しておくことが大切です。今後も先行き不透明ですので、ギリギリではなく、余裕を持った資金確保にお取り組みください。


  3. 会計の本質的な部分を理解し、貸借対照表と損益計算書の中身を読み解く力をつけることで、より詳細な分析を行うことができます。「絵でつかむ会計力リーダー養成講座」をまだ受講されていない方は是非ご検討ください。