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≪決算書の簡易診断≫
上場している様々な企業の決算書の簡易診断結果を提供しています。

決算書の簡易診断 No.13 クオールホールディングス株式会社

クオールホールディングス株式会社 簡易B/S、P/L

【決算書の簡易診断とは】

実在する企業の決算書(主に貸借対照表と損益計算書)の中身を4つのチェックポイントから簡易的に経営診断したものです。各チェックポイントを独自の判断により「優」「良」「可」「不可」の4段階で評価しています。

簡易診断結果は十分な経営分析ではありません。参考としてご覧ください。


【チェックポイント1】債務超過に陥っていないか?

  1. 2020年度3月期時点の総資産(=負債と純資産の合計)は1,029億円で、対前年度+86億円の増加となっています。
  2. そのうち、負債合計は619億円(対前年度+67億円)、自己資本(純資産)は410億円(対前年度+20億円)です。総資産額よりも負債合計額が小さいので債務超過ではありません。
  3. 財務体質を表す自己資本比率(※自己資本=純資産としています)は、純資産よりも負債の方が増額したため、対前年度▲1.5ポイントで39.9%に下がってしまいました。まずまずの水準です。
評価「可」

【チェックポイント2】営業利益・経常利益は黒字か?

  1. 当期の本業の基礎収益力を表す営業利益は77億円で、対前年度+7億円の増加となっています。売上高営業利益率は対前年度▲0.2ポイントで、4.7%に下がっています。
  2. 当期の正常収益力を表す経常利益は80億の黒字で、対前年度+8億円の増益です。
  3. 売上高経常利益率は、対前年度▲0.1ポイントで、4.9%に下がっています。
  4. 売上高に対する比率はどちらも4%超を維持しているものの、収益力が低下している点から良好な成績とは言えないでしょう。
評価「可」

【チェックポイント3】損益分岐点比率は100%を下回っているか?

  1. 損益分岐点比率は62.0%と良い水準です。しかしながら、対前年度では+2.3ポイントの上昇、すなわち経営安全率(=100-損益分岐点比率)が▲2.3ポイント低下していることになります。
評価「良」

【チェックポイント4】現・預金残高は月商(ひと月の売上高)の1.5ヶ月分あるか?

  1. 運転資金や手形の不渡りなどの不時に備えた手元現預金月商倍率は1.15ヶ月(対前年度▲0.53ヵ月)です。判断基準値である1.50ヶ月を大きく下回っており、資金繰り面には不安があります。
評価「可」

【総合評価】

  1. 2020年3月期は対前年度で増収増益の良い経営成績となりました。変動費の増加(+174億円)以上の売上高の増収(+206億円)を確保した結果、貢献利益は増加(+32億円)しています。売上高貢献利益率は対前年+0.4ポイントと改善しており、固定費回収パワーが向上しています。
  2. 固定費の増加(+24億円)を上回る貢献利益の伸びを確保した結果、当期の経常利益は増益(+8億円)となりました。増益を確保したものの、固定費の増加幅が大きかったため、経常利益率は下がっており、生産性は低下しています。
  3. 財務面では、純資産は利益剰余金の積み上げにより+20億円となっていますが、B/Sの左側の資産全体(カネの運用)がそれ以上に増加しています。資金不足により負債が+67億円と大幅に増え、現預金も大幅に取り崩されて減少しています。チェックポイント4でも触れたように、手元資金(現預金)の水準が下がっていることには注意が必要です。
  4. 第2回で取り上げたクオールホールディングス株式会社の2020年度3月期を取り上げました。
  5. 当企業は医薬品製造販売事業への参入のため、第一ステップとして藤永製薬を本年度に買収しています。その影響で、固定費の増加や資産、借入金(負債)の増加等が生じていると思われます。
  6. 売上高・貢献利益・経常利益は対前年度で増収に転じていることから、買収によるプラス効果は得られているかと思われます。買収に伴い、財務構造の水準が前年度末時点よりも下がっているものの、この調子を持続できれば、今後改善していくと思われます。
評価「可」

【その他】

  1. 当企業の貢献利益率は12.8%と前期よりも上昇しています。医薬品にかかわる貢献利益率のベンチマークとして参考にしましょう。
  2. 新型コロナウイルスを新生活様式で乗り越えるべく、少しずつ経済が回りだしました。しかしながら、感染者数の増加は厳しく、政府の動向など先行きは今後も不透明です。いざという時のための余裕を持った資金確保にお取り組みください。


  3. 会計の本質的な部分を理解し、貸借対照表と損益計算書の中身を読み解く力をつけることで、より詳細な分析を行うことができます。「絵でつかむ会計力リーダー養成講座」をまだ受講されていない方は是非ご検討ください。