地域連携のデザイン【SAMPLE】
医療・介護の連携強化に向け、「かかりつけ医機能」を制度化へ
世界に類をないスピードで高齢化が進む、日本。特に複数の慢性疾患も持ち、場合によっては介護サービスも必要とする高齢者を支えていくには、医療と介護を切れ目なく提供できるサービス提供基盤の整備が不可欠だ。厚生労働大臣の諮問機関である中央社会保険医療協議会では間もなく、2024年度の次期診療報酬改定に向けた議論が始まる。6年に1度の介護報酬との同時改定(正確には障害福祉サービス等サービス改定もあるトリプル改定)であり、医療・介護連携を促すための診療報酬上の評価が大きな争点となる。そこで、今回から次期改定に向けた医療・介護連携に関連する事項を中心に、行政の動向を紹介していく。
本題に入る前に、今後の制度整備の検討にあたっての基本的な考え方を整理しよう。日本の高齢者人口は団塊の世代が全員75歳以上になる2025年に向けて急速に増加する。その後、増加のスピードは緩くなるものの、2040年頃までは高齢者の増加と、その支え手となる生産年齢人口の急減が同時進行する。特に深刻なのが、医療と介護のニーズも合わせ持つ85歳以上の高齢者の増加であり、マンパワーが限られる中で入院から在宅、看取りにいたるまでの幅広いニーズに対応できる医療・介護サービス提供体制をいかに再構築していくかが課題となっている
その際、医療と介護をつなぐ要となるのが、いわゆる「かかりつけ医機能」を担う医療機関だ。新型コロナウイルスの感染拡大で、日頃からかかりつけ医を持っておくことの重要性を国民が再認識したこの機会を捉え、政府は「かかりつけ医機能」の制度化を一気に押し進めようとしている。
かかりつけ医機能の定義を法定化し、報告制度を創設
昨年末に厚労省の社会保障審議会・医療部会が具体策をまとめている。それによると、まず、「かかりつけ医機能」を「身近な地域における日常的な医療や健康管理に関する相談等を行う医療機関の機能」と定義し、これを法定化(医療法で規定)。その上で、医療機関が自院の「かかりつけ医機能」(他の医療機関と連携して担う場合も含む)を都道府県に報告する「かかりつけ医機能報告制度」を創設する。
※2023年1月18日掲載記事。