病める世相のリスクウォッチ【SAMPLE】
シリーズ事故調査・紛争解決の工夫(2)交通事故紛争の解決制度
1.はじめに
交通事故の損害賠償請求に関する紛争は、件数が多く、弁護士の業務としても初歩的なスキルであり、典型的なものである(しかし実は奥が深い分野である)。交通事故の紛争は件数が多く、これまで試行錯誤を繰り返し、円滑に紛争を解決するための知恵が多数集積されている。その最大の特徴は、法で定められた強制保険(自賠責保険)と民間保険会社の任意保険の「二階建て」になっていることである。
2.損害保険料率算出機構の後遺障害認定
交通事故の賠償金額は、自賠責保険の上限金額(障害の程度によるが最大でも4000万円)を超えることもしばしばである。それを補うために、任意保険が存在する。自賠責保険はこの意味でパワー不足の感は否めない。しかし、それでも、自賠責の強制保険の制度は、紛争解決に重要な役割を果たしている。
なぜならば、自賠責保険金の支払いは、法で定められた自賠責保険の手続で中立・公平に審査されて支払われることになるからであり、全体の損害の一部について支払いをするのであっても、中立・公平な保険審査が行われるからである。
※2023年4月28日掲載記事。
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(公開日 : 2023年04月01日)