会計力 F/U NO.26
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≪決算書の簡易診断≫
上場している様々な企業の決算書の簡易診断結果を提供しています。
決算書の簡易診断 No.26 株式会社ビー・エム・エル
【決算書の簡易診断とは】
- 実在する企業の決算書(主に貸借対照表と損益計算書)の中身を4つのチェックポイントから簡易的に経営診断したものです。各チェックポイントを独自の判断により「優」「良」「可」「不可」の4段階で評価しています。
- 簡易診断結果は十分な経営分析ではありません。参考としてご覧ください。
【チェックポイント1】債務超過に陥っていないか?
- 総資産額よりも負債合計額が小さいので債務超過ではありません。
- 2021年度3月期は、お金の出所である自己資本(純資産)は対前年度+127億円と大幅増となりました。一方、お金の運用である総資産は対前年度+229億円の大幅増となりました。自己資本の増加で賄いきれなかった分を外部から調達した結果、負債合計は対前年度+102億円の増加となりました。
- 財務体質を表す自己資本比率(※自己資本=純資産としています)は、対前年度▲2.3ポイントで66.9%に下がっていますが、良い水準にあります。
【チェックポイント2】営業利益・経常利益は黒字か?
- 2021年度3月期の本業の基礎収益力を表す営業利益は対前年度+102億円の大幅増で199億円に増加しました。売上高営業利益率は対前年度+6.3ポイントで14.4%に改善しました。
- 当期の正常収益力を表す経常利益は、対前年度+106億円の大幅増益となり、208億の黒字です。売上高経常利益率は対前年度+6.6ポイントで15.0%に改善しました。
- 売上高営業利益率、売上高経常利益率のどちらも大幅改善しており、収益力が向上しています。
【チェックポイント3】損益分岐点比率は100%を下回っているか?
- 損益分岐点比率は対前年度では▲13.8ポイントと大きく改善し、62.0%となりました。良い水準です。
【チェックポイント4】現・預金残高は月商(ひと月の売上高)の1.5ヶ月分あるか?
- 運転資金や手形の不渡りなどの不時に備えた手元現預金月商倍率は対前年度+0.41ヵ月となり5.50ヶ月に増えました。判断基準値である1.50ヶ月を大きく上回る安定した水準です。
【総合評価】
- 対前年同期で見ると、新型コロナウイルスの検査の需要が増えたことで、売上高が大幅増収(+178億円)となりました。変動費も増加(+53億円)しましたが、固定費回収パワーの貢献利益は大幅増(+125億円)となりました。貢献利益の伸びを下回る固定費増(+23億円)に抑えた結果、経常利益は大幅増益(+208億円)となりました。
- 2021年3月期は、採算面は増収増益の好成績となり、収益力・生産性ともに大幅に改善しました。 財務面では、自己資金の源泉の利益剰余金の厚みが+119億円なり、自己資本は+127億円と充実しています。資金の運用で総資産が+229億円増加しましたが、大半は増収による運転資金の増加で、不足分の外部資金調達+102億円の増加は、銀行などからの借入金によるものではなく、主に買掛金等・未払法人税等の増加によるもので、財務流動性はしっかりキープしています。手元現預金も充実しており、財務体質には問題ありません。
【その他】
- 新型コロナウイルスの検査需要の高まりが臨床検査企業の売上増に大きく貢献したことが分かります。新型コロナウイルスで経営が圧迫されている医療機関とは真逆の様相です。検査薬や検査委託料などの交渉時のメルクマールとして参考にしましょう。
会計の本質的な部分を理解し、貸借対照表と損益計算書の中身を読み解く力をつけることで、より詳細な分析を行うことができます。「絵でつかむ会計力リーダー養成講座」をまだ受講されていない方は是非ご検討ください。
(公開日 : 2021年08月31日)