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≪決算書の簡易診断≫
上場している様々な企業の決算書の簡易診断結果を提供しています。

決算書の簡易診断 No.33 フクダ電子株式会社

フクダ電子株式会社 簡易B/S、P/L

【決算書の簡易診断とは】

実在する企業の決算書(主に貸借対照表と損益計算書)の中身を4つのチェックポイントから簡易的に経営診断したものです。各チェックポイントを独自の判断により「優」「良」「可」「不可」の4段階で評価しています。

簡易診断結果は十分な経営分析ではありません。参考としてご覧ください。



【チェックポイント1】債務超過に陥っていないか?

総資産額よりも負債合計額が小さいので債務超過ではありません。

2021年度3月期は、お金の出所である自己資本(純資産)は対前年度+136億円となり、1,380億円に増加しました。負債合計は対前年度+95億円となり、538億円に増加しました。一方、お金の運用先である総資産は対前年度+230億円となり、1,918億円に増加しました。

財務体質を表す自己資本比率(※純資産=自己資本としています)は、対前年度▲1.8ポイントで72.0%に下がっています。厚労省が発表している医薬品・医療機器産業実態調査による、資本金規模が10億~50億円(当企業の資本金は46億円)の医療機器製造販売業の自己資本比率の平均値60.2%(2019年度)と比べると、良い水準です。

評価「良」

【チェックポイント2】営業利益・経常利益は黒字か?

2021年度3月期の本業の基礎収益力を表す営業利益は対前年度+65億円で198億円に増えました。売上高営業利益率は対前年度+3.5ポイントとなり、13.5%に改善しています。。

当期の正常収益力を表す経常利益は、対前年度+66億円で203億に増加しました。売上高経常利益率は対前年度+3.6ポイントとなり、13.8%に改善しています。。

売上高営業利益率、売上高経常利益率のどちらも大きく改善しており、収益力が向上しています。前述した厚労省の医薬品・医療機器産業実態調査によると、売上高営業利益率と売上高経常利益率の平均値は9.4%、9.6%で、どちらも大きく上回る良い水準です。

評価「優」

【チェックポイント3】損益分岐点比率は100%を下回っているか?

損益分岐点比率は対前年度▲7.4ポイントと大きく改善し、70%を切る67.4%に下がりました。採算構造が改善しています。

前述した厚労省の医薬品・医療機器産業実態調査による平均値74.9%を下回る良い水準です。

評価「良」

【チェックポイント4】現・預金残高は月商(ひと月の売上高)の1.5ヶ月分あるか?

運転資金や手形の不渡りなどの不時に備えた手元現預金月商倍率は対前年度+0.18ヵ月となり、4.63ヶ月に増加しています。

一般的な判断基準値である1.50ヶ月を大きく上回る水準で、安定した資金繰りが伺えます。

評価「優」

【総合評価】

新型コロナウイルス感染症の影響による医療機器への需要拡大が追い風となり、当企業の2021年3月期の経営成績は優秀な結果となりました。売上高、利益はいずれも過去最高を更新しています。

売上高が対前年度で大幅増収(+134億円)となる一方、変動費の増加(+54億円)を抑えた結果、固定費回収パワーである貢献利益は大幅増(+79億円)となりました。売上高貢献利益率は40.6%から42.3%に改善(+1.7%)しています。固定費が増加(+13億円)しましたが、それ以上の貢献利益の増加を確保したことで、経常利益は大幅増益(+66億円)の203億円となりました。

採算面は、対前年度で収益力・生産性ともに大きく向上しており、問題ありません。

その結果、財務面では、自己資金の源泉である利益剰余金の厚みが対前年度+120億円となり、1,305億円に増えました。保有有価証券の評価見直しなどにより、その他の包括利益が+16億円となった結果、純資産は対前年度+136億円となりました。一方、資金運用の総資産は、流動資産+174億円、固定資産+56億円となり、対前年度差+230億円となりました。流動資産の増加の主な要因は、現金(+71億円)と売上債権(+79億円)です。その結果、負債は+80億円となりました。負債増の主な要因は支払債務(+51億円)と未払法人税(+25億円)で、外部からの調達資金である借入金の増加はありません。財務体質には問題なく、健全です。

評価「優」

【その他】

医薬品卸企業とは打って変わって医療機器製造販売企業は軒並み業績が良好です。間もなく発表される2022年度の決算はどうでしょうか。各指標などは医療機器の購入やリース時の価格交渉のメルクマールとしましょう。


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(公開日 : 2022年03月31日)
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