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≪決算書の簡易診断≫
上場している様々な企業の決算書の簡易診断結果を提供しています。
決算書の簡易診断 No.35 日本調剤株式会社
【決算書の簡易診断とは】
実在する企業の決算書(主に貸借対照表と損益計算書)の中身を4つのチェックポイントから簡易的に経営診断したものです。各チェックポイントを独自の判断により「優」「良」「可」「不可」の4段階で評価しています。
簡易診断結果は十分な経営分析ではありません。参考としてご覧ください。
【チェックポイント1】債務超過に陥っていないか?
負債合計額が総資産額よりも小さいので債務超過ではありません。
2022年度3月期は、お金の出所である自己資本(純資産)は対前年度+30億円となり、529億円に増加しました。これに対し、お金の運用先である総資産は対前年度▲75億円で、1,788億円に減少しました。この結果、負債は対前年度▲111億円で1,259億円に減少しました。
財務体質を表す自己資本比率(※純資産=自己資本としています)は、対前年度+2.8ポイントで29.6%に改善しています。四期連続で改善しています。
【チェックポイント2】営業利益・経常利益は黒字か?
2022年度3月期の本業の基礎収益力を表す営業利益は対前年度▲15億円で66億円に減少しました。売上高営業利益率は対前年度▲0.7ポイントで2.2%に下がっています。
当期の正常収益力を表す経常利益は、対前年度▲4億円の減益で、黒字額は68億円に縮小しました。売上高経常利益率は対前年度▲0.7ポイントで2.3%に下がっています。
営業利益、経常利益のどちらも2期連続で下がっており、収益力の低下が伺えます。
【チェックポイント3】損益分岐点比率は100%を下回っているか?
固定費の回収パワーである貢献利益は増加していますが、それ以上に固定費が増加しています。この結果、損益分岐点比率は、対前年度で+4.1ポイントで87.1%に上昇しており、採算構造が悪化しています。
【チェックポイント4】現・預金残高は月商(ひと月の売上高)の1.5ヶ月分あるか?
運転資金や手形の不渡りなどの不時に備えた手元現預金月商倍率は対前年度▲0.39ヵ月で1.02ヶ月に下がっています。判断基準値である1.50ヶ月を下回っており、資金繰り面は不安があります。
【総合評価】
対前年度で増収減益の良くない経営成績でした。売上高が増収(+204億円)したものの、貢献利益の伸びは軟調(+30億円)だったため、固定費回収パワーが低下しました。更に固定費が増加(+47億円)した結果、当期の経常利益は減益(▲4億円)となりました。採算面は、収益力は問題ありませんが、生産性の改善が課題です。
財務面では、利益剰余金の厚みが増えた(+29億円)ことで、自己資本が増加(+29億円)しました。これに対し、資金運用の総資産は▲75億円の減少(うち、現預金残高は▲74億円)となりました。
事業活動で得た自己資金と手元資金を使って多額の負債を返済(▲111億円)した結果、自己資本比率は改善しました。しかしながら、手元現預金が大きく減少しており、資金繰りに留意が必要です。
【その他】
貢献利益率は下がったといえ、17.5%と非常に高い水準をキープしています。自院の医薬品にかかわる貢献利益率のベンチマークとして参考にしましょう。
会計の本質的な部分を理解し、貸借対照表と損益計算書の中身を読み解く力をつけることで、より詳細な分析を行うことができます。「絵でつかむ会計力リーダー養成講座」をまだ受講されていない方は是非ご検討ください。