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≪決算書の簡易診断≫
上場している様々な企業の決算書の簡易診断結果を提供しています。
決算書の簡易診断 No.37 株式会社ビー・エム・エル
【決算書の簡易診断とは】
実在する企業の決算書(主に貸借対照表と損益計算書)の中身を4つのチェックポイントから簡易的に経営診断したものです。各チェックポイントを独自の判断により「優」「良」「可」「不可」の4段階で評価しています。簡易診断結果は十分な経営分析ではありません。参考としてご覧ください。
【チェックポイント1】債務超過に陥っていないか?
負債合計額が総資産額よりも小さいので債務超過ではありません。
2022年度3月期は、お金の出所である自己資本(純資産)は対前年度+286億円となり、1,217億円に増加しました。これに対し、お金の運用先である総資産は対前年度+400億円で、1,794億円に増加しました。この結果、負債は対前年度+115億円で575億円に増加しました。
財務体質を表す自己資本比率(※純資産=自己資本としています)は、対前年度+1.0ポイントで67.9%に改善しています。
【チェックポイント2】営業利益・経常利益は黒字か?
2022年度3月期の本業の基礎収益力を表す営業利益は対前年度+290億円で489億円に増加しました。売上高営業利益率は対前年度+11.9ポイントと大幅改善し26.3%となりました。
当期の正常収益力を表す経常利益は、対前年度+303億円の増益で、黒字額は511億円に拡大しました。売上高経常利益率は対前年度+12.4ポイントと大幅改善し、27.5%となりました。
営業利益、経常利益のどちらも大幅増で、対売上利益率も大幅改善しており、収益力が大幅に向上しています。
【チェックポイント3】損益分岐点比率は100%を下回っているか?
固定費の回収パワーである貢献利益が対前年度+322億円と大幅増となった一方、固定費は+19億円の増加に留まりました。その結果、損益分岐点比率は、対前年度で▲20.8ポイントとなり、41.3%にまで下がりました。採算構造が大きく改善しました。
【チェックポイント4】現・預金残高は月商(ひと月の売上高)の1.5ヶ月分あるか?
運転資金や手形の不渡りなどの不時に備えた手元現預金月商倍率は対前年度+0.44ヵ月で5.94ヶ月に改善しました。手元現預金月商倍率は、判断基準値である1.50ヶ月を大きく上回っており、資金繰り面は安定しています。
【総合評価】
今年度も新型コロナウィルスの検査需要が追い風となり、対前年度で大幅増収大幅増益の良い経営成績となりました。売上高を大幅増収(+475億円)させる一方、変動費比率を下げました。その結果、固定費の回収パワーである貢献利益は+322億と増え、貢献利益率は+7.2ポイントの大幅改善となり46.7%に上昇しました。固定費を+19億円の増加に留めた結果、当期の経常利益は+303億円の大幅増益で511億円となりました。直近四期中における最大利益を記録しています。損益分岐点比率が41.3%に大幅に改善されており、採算構造は問題ありません。
財務面では、利益剰余金の厚みが増え(+292億円)、自己資本は+286億円となりました。これに対し、資金運用の総資産は+400億円の増加となりました。現預金残高は自己資本と同額の増加(+286億円)となり、資金繰り面が強化されました。負債は+115億円となっていますが、買掛金や未払法人税等の増加によるもので、外部からの直接的な借入金はありません。自己資本比率も安定した水準にあり、財務面は問題ありません。
新型コロナウィルスの影響で様々な企業の経営不振が騒がれるなか、当企業の経営には大きくプラスに働いており、採算面、財務面ともに大きく改善しています。
【その他】
貢献利益率は46.7%と非常に高い水準をキープしています。検査薬や検査委託料などの交渉時のメルクマールとして参考にしましょう。
会計の本質的な部分を理解し、貸借対照表と損益計算書の中身を読み解く力をつけることで、より詳細な分析を行うことができます。「絵でつかむ会計力リーダー養成講座」をまだ受講されていない方は是非ご検討ください。