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≪決算書の簡易診断≫
上場している様々な企業の決算書の簡易診断結果を提供しています。

決算書の簡易診断 No.16 アルフレッサホールディングス株式会社

アルフレッサホールディングス株式会社 簡易B/S、P/L

【決算書の簡易診断とは】

  1. 実在する企業の決算書(主に貸借対照表と損益計算書)の中身を4つのチェックポイントから簡易的に経営診断したものです。各チェックポイントを独自の判断により「優」「良」「可」「不可」の4段階で評価しています。
  2. 簡易診断結果は十分な経営分析ではありません。参考としてご覧ください。


【チェックポイント1】債務超過に陥っていないか?

  1. 2020年度3月期時点の総資産(=負債と純資産の合計)は13,516億円で、対前年度+97億円の増加となっています。
  2. そのうち、負債合計は8,767億円(対前年度▲232億円)、自己資本(純資産)は4,749億円(対前年度+328億円)です。総資産額よりも負債合計額が小さいので債務超過ではありません。
  3. 財務体質を表す自己資本比率(※自己資本=純資産としています)は、負債が減額する一方で純資産が増加した結果、対前年度+2.2ポイントとなり35.1%に改善しました。固定資産の少ない卸業としては良い水準です。
評価「良」

【チェックポイント2】営業利益・経常利益は黒字か?

  1. 当期の本業の基礎収益力を表す営業利益は476億円で、対前年度+29億円の増加となっています。売上高営業利益率は対前年度+0.1ポイントで、1.8%に改善しています。
  2. 当期の正常収益力を表す経常利益は対前年度+20億円の増益で、572億円の黒字です。しかしながら、売上高経常利益率は、前年度から横ばいで、2.1%を維持しています。
評価「可」

【チェックポイント3】損益分岐点比率は100%を下回っているか?

  1. 損益分岐点比率は、対前年度▲0.2ポイントの改善となり、72.4%に下がっています。良い水準です。
評価「良」

【チェックポイント4】現・預金残高は月商(ひと月の売上高)の1.5ヶ月分あるか?

  1. 運転資金や手形の不渡りなどの不時に備えた手元現預金月商倍率は前年度と変わらず0.09ヶ月です。判断基準値である1.50ヶ月を大きく下回っており、資金繰り面に不安があります。
評価「不可」

【総合評価】

  1. 2020年3月期は対前年度で増収増益の良い経営成績でした。
  2. 売上高の増収(+580億円)に比例して変動費も増加(+522億円)しましたが、売上高貢献利益率は対前年度+0.1ポイントと、収益力がわずかながら改善しています。
  3. 固定費が増加(+38億円)しましたが、それ以上に貢献利益の増加(+58億円)を確保した結果、当期の経常利益は増益(+20億円)となりました。
  4. 2020年3月期も対前年度で増収増益の良い経営成績でした。しかし、売上高に対する利益率はどれも低い水準をほぼ横ばいで推移しており、改善の余地があります。
  5. 財務面では、自分のカネの出どころであるB/S右側の純資産(自己資本)が、主に利益剰余金の積み上げにより、対前年度+328億円となりました。一方、カネの運用先であるB/S左側の総資産では、現金以外の伸びを+55億円に抑えました。その結果、B/S右側の負債では、主に買掛金を減少させることができ、対前年度▲232億円となりました。
  6. 財務運用の基本(自己資本の伸びA>総資産の伸びBによる余裕資金A-Bで負債返済)戦略によって、純資産を充実させつつ財務体質を改善させています。
評価「良」

【その他】

  1. 当企業の貢献利益率は対前年度+0.1ポイントとなり7.7%に増えています。新型コロナウイルスの影響による患者数減、固定費増は医療機関の経営に大きなダメージを与えています。仕入価格交渉をしっかりと行い、固定費回収パワーである貢献利益を確保しましょう。


  2. 会計の本質的な部分を理解し、貸借対照表と損益計算書の中身を読み解く力をつけることで、より詳細な分析を行うことができます。「絵でつかむ会計力リーダー養成講座」をまだ受講されていない方は是非ご検討ください。

(公開日 : 2020年10月31日)