オベリスク オピニオン

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検査なし、治療薬なし、ワクチンなしの医療現場。発熱外来に臨む現場を守るには、個人の防護対策しかない。


自衛隊感染ゼロにみる防護のヒント十ヵ条


1.新型コロナウイルスの集団感染が発生したクルーズ船『ダイヤモンド・プリンセス号』の対応に、防衛省は延べ約2,700人の自衛隊員を投入した。感染者を一人も出さずに約1ヶ月の活動を終えた。そこには徹底した個人防護対策があった。


2.マスクや防護服・手袋などの防護品を十分に確保すること。

まずはウイルスと闘うための武器をもつこと、これが大前提になることは言うまでもない。


3.ウイルスからの防護(1) 全身フル装備。

クルーズ船対応の自衛隊員は、厚労省が設けた基準よりも厳しい、自衛隊独自の防護策を講じたという。

    • ・防護服着用し、粘着テープで隙間を貼り付ける。
      ・手袋は万が一破れてもよいようにニ重に着用。
      ・飛沫が目に入って感染しないようにゴーグルを着用。
      ・マスクは必ず着用し、顔も覆う。
      ・靴カバーを着用。
      ・時にはおむつも着用して長時間の任務に対応。

  • 4.ウイルスからの防護(2) 防護服の着用の徹底。

    特に強調されたのは「必ず防護服の着用」であった。

    活動前に、感染症対策の知識のある看護官が、着用のしかたや脱ぎ方を説明したという。着用になれた隊員のアドバイスは、特に効果的だったという。


    5.ウイルスからの防護(3) 防護服を脱ぐ時に細心の注意を。

    ウイルスが付着している可能性が高い防護服の取り扱いに特に気を配る。

    防護服を脱ぐときは“外側”に触れないように2人一組で行う。

    頭の部分から順番にお互いの防護服を外していき、最後にお互いの手袋を取るといった手順。


    6.ウイルスからの防護(4) マスクは正しく着用。

    マスク着用時は、鼻に当たる部分を押さえて隙間を無くすなど、正しい装着を行う。


    7.ウイルスからの防護(5) 基本対策の徹底。

    自衛隊員は、感染症対策として日頃から「手洗い・うがい」を徹底している。

    手指で何かに触れたらすぐに消毒するなど、一般人よりも徹底した手洗いを行う。


    8.ウイルスからの防護(6) 活動現場以外でも感染予防の徹底。

    クルーズ船外の活動拠点として、延べ2,700人の隊員は2隻の民間フェリーで生活していたという。

    クルーズ船とは全く状況が違うが、それでも防衛対策は徹底された。

    感染のリスクに応じて隊員を2つのグループに分け、船への入口、動線、滞在するフロア、風呂場も分けられた。感染リスクが高い場合、洋服等は風呂場や部屋に持ち込んだバケツ型の洗濯機を利用。


    9.ウイルスからの防護(7) 感染予防意識の徹底。

    日頃から、手洗い・うがいなどの基本対策の重要性を意識する対策がとられている。

    朝礼・終礼での予防励行の伝達を行うことにより、一人一人に確実に実施することが徹底されている。


    10.参考になる文献やホームページを以下紹介する。


  • 新型コロナウイルス感染拡大防止に全力で立ち向かう医療従事者の方々が、自衛隊の経験や教訓を共有することは有意義なことと考える。


    (公開日 : 2020年04月13日)