備えよ常に リーガル事例【SAMPLE】

No.8 拘留中カルテ不開示、違法


1.事例概要

  1. 原告は刑事事件で起訴され、東京拘置所に勾留されていた40代男性。歯茎の出血や痛みがひどいのに治療してくれなかったとして2017年、外部の医師に症状を説明するためにカルテの開示を請求。国の不開示決定を受け、提訴。1.2審は敗訴。
  2. 最高裁が2021年6月、「開示の対象として請求できる」と判断、審理を東京高裁に差し戻した。
    2022年4月の差し戻し審判決で、東京高裁は、開示は違法と認め、国に33万円の支払いを命じた。
  3. 男性と国の双方は、判決を不服とし、最高裁に控訴。

2.注目点

  1. 行政機関個人情報保護法45条1項は、「刑事裁判に係る個人情報」などは開示の対象外と規定する。しかし、最高裁は、「開示が社会的復帰の妨げになる」という同項の立法趣旨は診療記録まで想定したものではないと指摘。診療記録も開示請求の対象となると判断した。
    誤った法解釈が法務省の組織的解釈となり、維持されてきたと非難。

※2022年5月12日掲載記事。


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(公開日 : 2023年04月01日)