新時代のリスクマネジメントを考える十ヵ条シリーズ No.14

倶楽部オベリスク(eアカデミア)で毎月配信中のマネジメントに役立つヒント十ヵ条の一部を公開しています。

[RMG10]No.14 レスポンス悪化回避のリスクマネジメントを考えるヒント十ヵ条

(執筆者)俯瞰マネジメント研究会 | 塚田智 


新時代のリスクマネジメントを考える十ヵ条シリーズ(RMG10)とは

世の中はICT社会化が加速しており、産業革命以来の大変革の時代という人もいます。個人情報を多く扱う医療機関は、これまで誰も考えたことがない程のICTリスクにさらされます。リスク対策に必要なことは前もって「考える」こと。倶楽部オベリスクのeアカデミアコースでは”考えるためのヒント”を提供しています。三人寄れば文殊の知恵です。当サイトではその一部を公開しています。もしご興味がございましたら、是非倶楽部オベリスクのeアカデミアコースへご加入ください。


1.ストレス社会。コンピュータの反応時間の遅さほどストレスを感じさせるのはない。反応時間には、指示から最初の出力までのレスポンスタイムと、結果の出力が全て終わるまでのターンアランドタイムの二種類がある。
この稿ではこの2つの反応時間の遅延を包括して、レスポンス悪化と呼ぶ。
レスポンス悪化は組織全体のストレスを高めかねない。その回避を図るのは、リスクマネージャーの重要な仕事である。そのために以下のようなことを俯瞰しておきたい。


2.インデックスは書籍で言えば、巻末の索引のようなものである。
データベースでは、蓄積された大量のデータの中から必要なデータを検索する。検索を高速で行えるようにするのがインデックスの役目である。索引によって情報の検索が容易になるのと同じこと。電子カルテなどでは、開発時から検索条件が考慮され、それに合ったインデックスを業者があらかじめ提供している。
しかし、長期間データ蓄積により想定以上の件数になったり、個々の施設の業務特性によっては当初予定からはずれて、データに偏りのある状態になることがある。そのような場合に、インデックスを追加変更することで、検索の効率を上げることができる。


3.レスポンスが悪化した状態で使われている検索条件を特定し、それに適したインデックスに修正できれば、効果は非常に大きい。1つの処理をするのに、インデックス変更前は数十万行の読み込みが必要で数十秒かかっていた処理が、作成後は数十行の読み込みで1秒以下になることもある。
ただし、処理が複雑で適切なインデックスを作れない場合もある。そのような場合は、プログラム修正などインデックス以外の方法を検討することになる。また、無計画にインデックスを追加すると、却って全体のレスポンスが悪化することもある。
当初のインデックスは、電子カルテなどのプログラムと同時に提供される。インデックスを追加変更するのは、レスポンスが悪化した後の対応として行われる。この対応は、一般的には医療機関が実施するものではなく、電子カルテの開発元などの業者が行うことになる。

4.データベースを長期間使っていると、ハードディスクなどのストレージに保管され ているデータが、連続した場所ではなく飛び飛びの場所に保管されるようになることも多い。このような状態を断片化という。断片化されたストレージからは、必要なデータの取り出しに時間がかかるようになる。断片化されたデータの並び方を整頓するのが再編成である。再編成には、データの再編成とインデックスの再編成がある。通常は両方とも同時に実施する。
再編成によって、連続したデータの取り出しやインデックスの読み込みが速くなる。しかし、電子カルテのような業務では、連続したデータの取り出しは、それほど多くない。よって、再編成によるレスポンス改善の効果は限定的。最大でも処理時間が10%程度の改善効果だと思われる。
前述のインデックスの修正は、レスポンスが悪化したときの対処である。再編成はレスポンスが良好でも日常的に実施すれば、レスポンス悪化の予防的措置ともなる。

5.最近のデータベースでは・・・続きをご覧になりたい方は「倶楽部オベリスク」のeアカデミアコースにご入会下さい。

(公開日 : 2021年03月19日)
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