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≪サーバー保守学≫
医療現場のサーバーやシステム保守運用業務に役立つ情報を定期的に配信しています。

サーバ保守学(10)

(執筆者)亀田医療情報株式会社 塚田智 


みなさん、こんにちは、サーバー保守学第10回です。新型コロナウイルスの感染拡大はいつ収束するか分からず、日常生活や経済活動への影響は日に日に広がるばかりです。みなさんの施設でも感染予防しながらの業務が続き、いつも以上に負担が増していることと思います。私生活では外出を制限したり、楽しみにしていたイベントや旅行が中止になるなど、明るい話題が無く気持ちが落ち込みがちになります。

こんな時期ですが、私たちの業界は、新年度から2年に1度の診療報酬改定に対応しなければなりません。改定に伴う運用変更やシステム作業は面倒なものですが、時代に合わせて日本の医療体制を変革していくために必要な改定です。頑張って対応していきましょう。そこで、今回は改定に伴うシステム作業の注意点を確認しておきましょう。

  

診療報酬改定に伴うシステム作業の注意点


1.システム作業の計画を立てる

診療報酬改定は中医協の答申が2月初旬、告示が3月初旬、実施が4月1日とだいたいの日程が決まっています。なるべく早い時期に改定内容の情報を得て自施設ではどのような対応が必要か検討し、全体の作業計画を作っておく必要があります。いつどのシステムに対応作業が必要になるのか、プログラムの更新はあるのか、マスター整備が必要なのか、運用変更は検討できているか、などを確認し日程を調整しましょう。

改定作業に合わせて、普段では実施しにくいサーバーの再起動や大量データの削除や移動といった作業を計画に組み込んでおくことも検討しましょう。ですが、業務パッケージ、ハードウェア、ネットワークの変更や更新といった比較的大規模な作業は、その作業自体にリスクもあり作業量も増えることから、改定とは別の時期に実施すべきでしょう。


2.システムの利用制限は早めに通知する

改定作業によってシステムの利用制限がある場合は、早めに医師や看護師などのエンドユーザーに通知しておきましょう。システム停止などエンドユーザーに大きな影響があることは、2週間以上前に連絡が必要でしょう。勤務シフトに影響する作業などを考えると1ヶ月以上前に連絡しておきたいところですが、改定内容は直前まで流動的で改定作業は短期間で実施しなければなりません。そのため業者との日程調整が難しく、十分な余裕を持てないことが多いと思います。

特に今年は、医療現場が新型コロナウイルスの対応で改定対応を検討する余裕がなかったり、システムの利用制限をできる時間が限定される可能性があります。また、感染拡大の状況により現場の対応が日々変わることが予想されますので、システム管理者としても現場の状況をこまめに確認しておきましょう。


3.全システムの対応を確認しシステム間連携を確認する

医療機関には部門ごとに多数のシステムが導入されていますが、業者の対応は自社の保守対象の範囲のみになります。医療機関にある全てのシステムを把握して改定作業を調整するのは、システム管理者の責任でしょう。業者から改定作業の連絡があったら、連携している他のシステムに影響する可能性があるか確認しておきましょう。業者から連絡が無い場合は自発的に連絡して、改定作業が不要であることを確認しておきましょう。

業者とコミュケーションを取ることで、業者が気づいていない作業を見つけるきっかけになります。業者からは、他施設の対応事例を教えてもらい自施設の計画に反映することもできます。


4.自施設の対応範囲を決めるためにデータを提供する

診療報酬改定の内容は多岐に渡りますが主に医事会計に関わるもので、理解するには専門的な知識が必要になります。とはいえ診療報酬は医療機関の主たる収入源ですので、システム管理者もある程度理解しておくことが必要でしょう。改定内容に対して経営者や医療現場から対応したい範囲を聞き、システムとしてどのような支援ができるか検討し、改定対応のコストと収入を比較するデータを提供できるようにしましょう。

改定内容は全ての項目に対応するものではなく、施設ごとに対応範囲が異なるものです。自施設では何に対応し何に対応しないべきか、システム管理者から見て対応すべき範囲を提言することは経営に良い影響を与えられる機会だと思います。


診療報酬改定は厚生労働省が実務を行っています。答申や告示の文書やそれを決定するまでの会議に必要な大量の資料は、読むだけでも大変ですが、作成する厚生労働省の負担は想像できないほど大きいことでしょう。さらに今年は新型コロナウイルスの対応が重なり、さすがの厚生労働省にも過剰な負荷になっていると思います。私が2月初旬に参加したセミナーでは、いつもは元気な厚生労働省の職員が少しやつれた顔つきでした。それでもセミナーの講師をしつつ、加えて懸命に感染予防を啓蒙していた姿をとても印象的に覚えています。

改定は4月1日から実施されますので3月末までが作業のピークになると思いますが、システムによっては4月に入ってから対応作業を実施するものもあります。さらに、月次処理や数カ月後の集計に影響を与える機能変更は、それまで待たないと結果を確認できません。4月以降も当分は気を抜けない時期が続くと思います。みなさんも体に気をつけて無理のない範囲で頑張って、新型コロナウイルス対応と診療報酬改定を乗り切りましょう。