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≪決算書の簡易診断≫
上場している様々な企業の決算書の簡易診断結果を提供しています。

決算書の簡易診断 No.8 東邦ホールディングス株式会社

東邦ホールディングス株式会社 簡易B/S、P/L

【決算書の簡易診断とは】

実在する企業の決算書(主に貸借対照表と損益計算書)の中身を4つのチェックポイントから簡易的に経営診断したものです。各チェックポイントを独自の判断により「優」「良」「可」「不可」の4段階で評価しています。

簡易診断結果は十分な経営分析ではありません。参考としてご覧ください。


【チェックポイント1】債務超過に陥っていないか?

  1. 2019年度3月期時点の負債純資産合計は6,637億円で、対前年度+179億円の増加となっています。
  2. そのうち、負債合計は4,499億円(対前年度+119億円)、自己資本(純資産)は2,138億円(対前年度+61億円)です。資産(=負債と純資産の合計)よりも負債合計が小さいので債務超過ではありません。
  3. 自己資本比率は32.2%(※自己資本=純資産としています)で、前年度からほぼ横ばいです。
  4. 年商10億円以上の卸売業の2018年度の自己資本比率の平均値33.8%(財務省の法人企業統計調査による)を下回る水準です。
評価「可」

【チェックポイント2】営業利益・経常利益は黒字か?

  1. 当期の本業の基礎収益力を表す営業利益は158億円の黒字ですが、対前年度▲40億円の減少となっています。売上高営業利益率は1.3%で、対前年度▲0.3ポイントの下降です。
  2. 当期の正常収益力を表す経常利益は215億の黒字ですが、対前年度▲36億円の減益です。
  3. 売上高経常利益率は1.8%で▲0.3ポイントの下降です。
  4. 前述の調査によると2018年度の売上高営業利益率と売上高経常利益率の平均値は、それぞれ1.0%、2.8%です。それらと比較すると、経常利益率が低い水準にあると言えます。
評価「可」

【チェックポイント3】損益分岐点比率は100%を下回っているか?

  1. 損益分岐点比率は80.9%でまずまずの水準です。しかしながら、対前年度では+2.8ポイントの悪化となっており、生産性は低下しています。
評価「可」

【チェックポイント4】現・預金残高は月商(ひと月の売上高)の1.5ヶ月分あるか?

  1. 運転資金や手形の不渡りなどの不時に備えた手元現預金月商倍率は0.78ヶ月(対前年度+0.11ヵ月)で、判断基準値1.50ヶ月の半分程度しかありません。
  2. 事業規模にしては手元の現預金のストックが少ない印象です。
評価「不可」

【総合評価】

  1. 2019年3月期は対前年度で増収減益の良くない経営成績です。増収(+89億円)を確保したものの、変動費がそれ以上に増加(+110億円)したため、貢献利益が減少(▲21億円)しています。その一方で、固定費が増加(+15億円)したため、経常利益は貢献利益以上のマイナス(▲36億円)となりました。
  2. このように、売上高が増収しても、【2つの費用(変動費と固定費)】のコントロール次第では、利益は減益します。
  3. 反対に売上高が減収しても、【2つの費用】を抑えることで、利益は増益することもあります。売上高増≠利益増という点を押さえておきましょう。
  4. 採算構造のシンボル指標である損益分岐点比率は前年度の78.1%から80.9%に上昇(=悪化)しており、生産性が低下しています。
  5. 売上に対する経常利益率は2.0%を割っており、年商10億円以上の卸売業の平均値と比べてみても低い水準です。採算構造の改善が必要です。
  6. 財務面では、自己資金(利益剰余金)の伸び(+61億円)を確保したものの、それ以上に負債が増加(+119億円)しています。自己資本比率は前年度からほぼ横ばいで推移していますが、業界平均水準を下回っています。
評価「可」

【その他】

  1. 今回も医薬品の卸業を主軸とする企業を取り扱いました。これまでに取り上げたアルフレッサホールディングス・メディパルホールディングス・スズケンとは異なり、貢献利益率は対前年度▲0.2ポイントと下がっています。とは言え、2018年度(2018年4月~2019年3月)の診療報酬改定による薬価等のマイナス改定(▲1.33%)よりは小さい下げ幅です。
  2. 参考までに、医薬品卸売事業に限って見ると、売上高(内部取引除く)は前年度1兆1,139億円から当年度1兆1,278億円の+139億円の増収ですが、営業利益(内部取引除く)は前年度172億円から161億円と▲11億円の減少となっています。営業利益のマイナスは、全体の損益計算書から分かるように、変動費の増加の影響によるものだと考えられます。
  3. 医薬品等の売値を自由に変えることの出来ない医療機関は、自身の貢献利益を守るために、卸業者ときちんと交渉し、適正な価格で仕入れることが必要です。


  4. 会計の本質的な部分を理解し、貸借対照表と損益計算書の中身を読み解く力をつけることで、より詳細な分析を行うことができます。「絵でつかむ会計力リーダー養成講座」をまだ受講されていない方は是非ご検討ください。


    また、診療報酬改定に関する情報は「会員制倶楽部オベリスク」にて随時配信中です。ご興味のある方は併せてご検討ください。