人事労務 F/U NO.67
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フリーランス法スタート 企業は何をしなければならない?
(執筆者)社会保険労務士法人 伊藤人事労務研究所
フリーランス法ができたと聞きました。当社でもフリーランスの方に仕事を依頼しているので気になっています。企業は具体的に何をしなければならないのでしょうか? 罰則はありますか?
フリーランス法が11月1日から施行されます。企業には、取引条件の明示やハラスメント対策などさまざまな事項が義務付けられるほか、やってはいけない禁止事項も定められています。
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この法律が制定された背景には、フリーランスが不当な扱いを受けるケースが多いことがあります。調査によると、フリーランスの約4割が取引条件の不明確さや報酬の未払いや遅延などの問題を経験しています。発注者とフリーランス間の取引を適正化し、フリーランスが安心して働ける環境を整えるために法律が作られました。
① 義務の内容
フリーランス法では、発注者に対していくつかの義務が課されています。
- ◆ 書面などによる取引条件の明示
- ◆ 支払期日の設定
- ◆ 募集情報の的確な表示
- ◆ ハラスメント対策
まず確認しなければならいのは取引条件の明示です。口頭はNGで、書面やメールで明示する必要があります。明示すべき事項として支払期日や納期など9つの事項が定められています。
また、支払期日は納品から60日以内のできる限り短い期間内で定め、期日までに支払わなければなりません。
② 7つの禁止事項
フリーランスに対して1ヵ月以上の業務を委託した場合には、7つの行為が禁止されています。
- (1) 成果物の受領拒否
- (2) 報酬の減額
- (3) 返品
- (4) 相場より著しく低い報酬を不当に定めること
- (5) 指定する物やサービスを強制的に購入・利用させること
- (6) 不当な経済上の利益の提供要請
- (7) 不当な変更・やり直し
③ 継続して業務を委託するときは
6ヵ月以上の業務を委託している場合は、さらに次の義務もあります。
- ◆ 途中解約は30日前までに
- ◆ 育児や介護と業務の両立への配慮
たくさん義務があり、細かくルールが定められているので、わかりづらいと感じる方も多いでしょう。
公正取引委員会の「フリーランス法特設サイト」では、ポイントをまとめた動画や理解度診断、「あるあるチェック」(図参照)などが公開されているので、フリーランスに仕事を依頼している企業の方は一度目を通しておくことをお勧めします。
④ フリーランス法の対象は
なお、この法律の対象となるのは、従業員を使用している「発注事業者」(※)から、従業員を使用していない「フリーランス」への業務委託です。
(※)「書面等による取引条件の明示」については従業員を使用していない発注者も対象
⑤ 罰則はある?
違反した場合、発注者には行政の調査がおこなわれ、指導が実施されることになります。従わない場合には、企業名公表や50万円以下の罰金もあります。