人事労務 F/U NO.32
人事労務基礎講座 フォローアップ
≪判例・事例紹介、法改正情報など≫
主に医療機関や介護福祉関係にお勤めの方向けに、役立つ人事・労務関係の情報を定期的に配信しています。
土日とも勤務したらどちらに休日割増を払う?
(執筆者)社会保険労務士法人 伊藤人事労務研究所
Q.当社は土日が休みで月曜から日曜を1週間と定めていますが、土曜、日曜を連続勤務した場合、いずれを法定休日として割増賃金を支払うのでしょう?
A.その週に月曜から金曜まで勤務したのち、さらに土曜、日曜を連続勤務した場合は、後にくる休日が法定休日になり、休日労働として35%以上の割増賃金を支払う必要があります(就業規則などで休日を特定している場合はその日が法定休日)。
1.毎週1日の法定休日
A.その週に月曜から金曜まで勤務したのち、さらに土曜、日曜を連続勤務した場合は、後にくる休日が法定休日になり、休日労働として35%以上の割増賃金を支払う必要があります(就業規則などで休日を特定している場合はその日が法定休日)。
1.毎週1日の法定休日
1.毎週1日の法定休日
労働基準法では、毎週1日の休日(これを「法定休日」といいます)を与えるよう義務付けています(4週間で4日という方法もありますが労働者への負担も大きいため採用する企業は多くありません)。
この法定休日は、0時から24時までの暦日24時間をいいます(交代制勤務の場合の例外があります)。
2.休日労働の割増賃金
さらに労働基準法では、法定休日に労働した場合35%以上の割増賃金を支払うよう義務付けています。ところで法定休日には法定労働時間(1日8時間)は適用されませんから、9時間働いでも同じ割増賃金35%以上です。
休日労働が深夜(22時から翌5時まで)に及ぶ場合は25%上乗せされるため合計60%になります。
たとえば時給1,000円の人が休日労働すると時間あたり1,350円、深夜では1,600円ですから、非常にコストがかかる働かせ方になります。
3.週休2日の法定休日は?
法定労働時間が1日8時間、週40時間のため(月曜から金曜までの5日間で8時間×5日=40時間)、土曜、日曜の週休2日制をとっている会社がほとんどです。そうすると、土曜、日曜のいずれが法定休日になるかという問題があります。
あらかじめ就業規則などで法定休日を「日曜」などと定めた場合、その日の労働が休日労働になります。定めていない場合、土曜、日曜のいずれか一方だけを勤務した場合は休日労働ではなく、週40時間を超える場合の時間外労働ということになります。この場合、割増賃金は25%以上です。法定休日ではない方の休日を「法定外休日」または「所定休日」などと呼びます。
土曜、日曜の両日を勤務した場合は、週の中で後に来る日が法定休日です。1週間は特に定めがない場合は日曜から土曜までの暦週で見ますが、就業規則などで定め「水曜から火曜」などとすることもできます。
たとえば、土曜5時間、日曜7時間などと勤務した場合、いずれが法定休日かで割増賃金の額が異なるわけです。
割増賃金だけではなく、時間外・休日労働をする場合、それぞれ上限が定められていますが、時間外労働だけで見る場合と、時間外と休日労働の時間を合算する場合とがあり、正しく区別する必要があります。特に時間外労働が多い会社では、違法な長時間労働とならないよう厳格に管理しなければなりません。
4.土曜勤務が24時を超えた場合は?
例えば、土曜が所定休日、日曜が法定休日の会社で、土曜に臨時業務が入り夕方から勤務したとします。その勤務が夜中の24時を超えた場合は、どのような割増賃金を適用するでしょう?
実は先に述べたとおり、法定休日は暦日の24時間ですから、24時を超えると法定休日になります。そうすると、下図のとおり勤務開始は25%(週の勤務40時間を超えているとします)、深夜から50% 24時を超えたところから60%(35%+25%)というように割増賃金が適用されます。